日本人アーティストの海外進出は度々話題にはなりますよね。
しかし「成功した」と言う話は全くと言っていいほど聞かないです。
日本人アーティストの海外進出はそれほど難しく、不可能に近い夢の舞台なのだと私は考えています。
そもそも日本が英語圏で無いのが不利すぎる
海外で成功と言えば多くの人はアメリカと言う舞台を想像すると思います。
アメリカで成功するには英語で作曲をしなければいけません。
しかし日本人は基本的に英語が出来ないし細かいニュアンスも理解していない人が多いです。
学校の授業だけで学べることには限界があるし、それでは海外でウケる作曲をすることは無理なのです。
分かりやすい例えで言うなら「日本語に慣れていない外国人が日本でアーティストとして成功できるのか?」と言う事です。そんな人は居ないし実際日本では見かけないですよね。
理解が乏しい言語での作曲はそれほどに難しいし、良い曲も作れないものなのです。
外国の人からしたら日本人の英語はド下手だし、カッコいいと思ってくれることは少ないでしょう。
なので日本人アーティストが海外進出で失敗するのは、当然のことだと考えて良いでしょう。
また、逆に言えば「アメリカ人が日本でアーティストとして成功する」と言う事もかなり難易度の高いです。
日本人アーティストの能力が低いわけでは無く、単純に環境や出身地的に厳しいものなのです。
海外の文化を理解しないと売れる曲を作れない
音楽と言うのはリスナーから共感を得るような歌詞作りが重要です。これにはその国の文化への理解が重要になってきます。
例えば、ラブソングを作る際は恋愛に関する経験・知識・心情を理解している必要があります。
これは国によって恋愛の価値観が違うし、文化もそれぞれです。これを深く知らない事には大衆に刺さるラブソングは作れないと言って良いでしょう。
この異文化の壁こそが、海外で成功出来ない大きな理由ですね。実際、その国に生まれて小さいころから暮らしていないと分からない事は沢山あります。片手間の英語の勉強だけではダメなのです。
文化の違いから「日本で売れる曲」と「アメリカで売れる曲」は同じでは無いのです。
日本でどれだけ有名なアーティストでも、海外市場になるとほぼゼロからのスタートとなると考えて良いでしょう。
海外の文化に合わせて作曲すると日本のファンが離れていく
活動拠点を海外にした際は、今までいた日本のファンが残ってくれるとは限りません。しかも多くのファンは「変わってしまったな」と幻滅してファンを辞めてしまう事が多いです。
某有名ロックバンドは海外進出をキッカケに、多くの日本ファンが離れていきましたからね。
夢を追いかける事はカッコいいですがビジネス的な側面から見ると、日本人アーティストの海外進出はデメリットしかないんですよね。
「日本で成功したら海外進出する」と言うのは王道パターンにも見えますが、全然ダメなんですよね。
それで成功した日本人アーティストは全然居ないのが現状なのです。
海外には優秀なアーティストが山ほどいる
海外で成功するためには、現地ライバルと競争に勝つ必要があります。
世界は広く、音楽の才能やセンスのあるアーティストも沢山います。果たしてその海外のアーティストより優れた音楽を日本人アーティストはリリースしていけるのでしょうか?
答えは”ほぼ不可能”です。日本と言う国では、現地の日本人が活躍しまくっているのと同じで海外では英語圏に住むアーティスト達が上位を占めています。
現実はやはり厳しいですね。スポーツや競技ならば「勝ったら評価される」と言う所がありますが、音楽に関しては完全に大衆からウケるかがカギになってきますからね。
また、アーティストは「音楽だけに限らずファッションや言動がイケているか?」と言う事も重要視されています。
海外で「日本の音楽を聞いている事はイケている」と言う風潮が出来ない限り、日本人アーティストが活躍することは厳しいでしょう。
音楽は評価基準が非常に曖昧で何が売れるか分からない
これはどの国の音楽シーンでもある事なのですが、実際にリリースしてみるまでどれくらい売れるかは分からないのです。
「売れそうな曲」は予測して作れますが、実際どれくらいヒットするかは運次第な所もあります。偶然バズると言うパターンもありますからね。
音楽と言うのは、技術を競うモノではありません。もちろん作詞作曲編曲のスキルは重要ですが「1番スキルのある音楽家が1番売れる」と言うわけでは無いのです。
音楽知識が乏しい大衆を相手にすると、曲の何が評価されて売れるのかが非常に曖昧なのです。
これは有名アーティストでも悩むことです。「自分の音楽の何が評価されて売れたのか具体的には理解できない」と言う事はよくあるのです。
アーティストの中でもヒットした曲と、マイナーな曲があるのはそのせいだと言えるでしょう。
音楽における人種の壁は大きい
日本人にとってはあまり実感が無い事ではありますが、人種と言うのはかなりシビアなテーマです。
そして音楽シーンにおいてもかなり重要なポイントになってきます。
特に海外においては”人種の違い”と言うものがやはり根強くあるものです。
表向きは「人種で優劣をつけるのはダメだ」と言っている人が多いですが、心の深い部分では見下している事もあるのが現状です。
この人種と言うのはリズムの取り方やメロディーの作り方など色々な部分に影響がありますが、やはり一番変わってくるのは”歌詞”です。
これは特にHIPHOP・ラップ・R&Bにおいてはかなり関係があると言えるでしょう。アメリカでの市場もかなり大きく人気の音楽ジャンルです。
そして歌詞と言うのは日本でも海外でも”共感できるか?”という事が非常に重要です。
例えばブラックミュージックであるHIPHOPは、自信の辛い経験・壮絶な生い立ち・人種による不利益などを歌詞に書くことも多いです。
その多くは黒人と言う人種に刺さり、熱狂的なファンを生むことになります。
しかし日本人アーティストが歌詞を書いても”それに共感してくれる日本人”がそもそも海外にあまり居ないのです。
なので作詞においては日本人は不利どころか、攻略不可能とすら言えるでしょう。日本人アーティストの歌詞は、日本人のファンにこそ刺さりウケるのです。
これはあくまで仮の話ですが、日本人と言う人種が世界各地で増えたとしたら「日本人アーティストが世界で成功できる可能性が高くなる」とも言えるでしょう。
KPOPを起点にアジアアーティストの進出の可能性は広がってきた
世界的に成功しているアジアの音楽と言えばやはりKPOPが挙げられるでしょう。
BIGBANG, BTS, PSY, BLACKPINK, などなど世界で活躍するアーティストは沢山います。
KPOPはラップやトラック作りが海外進出を視野に入れている傾向があります。何かこう、韓国独自の音楽と言うより洋楽っぽい聞き心地があります。
それに加え、韓国には洋楽に詳しいプロデューサーやトラックメイカーが居るのだと思います。KPOPグループは表舞台に立つアイドル的存在とは別に、裏方に優秀な人材が多いのでしょう。
海外でバズった日本人アーティスト達
日本人アーティストの中にも海外で評価されている人は居ます。どちらかと言うとアーティストと言うより曲が単体でバズっている事が多い傾向にありますね。
「ピコ太郎 – PPAP」は海外でも大きくバズった事が記憶にある方も居るでしょう。今では1億再生もされていますね。
この曲は海外のトップアーティスト Justin Bieber にSNS上で取り上げられたことがキッカケで人気になりました。
曲と言うよりも”ネットミーム”としてバズっていましたね。ネタ動画も数多く作られてきました。しかし今の時代のアーティストにとって、このミームと言う現象は無視できない要因となっています。
海外の有名アーティストには、曲をリリースする前からネットミーム化してブームを作る戦略を練っている人も居ます。それでトップスターになる人も居るのが事実です。
国内外で問わず、音楽は芸術よりもエンタメ要素が強く評価されるようになってきています。「SEKAI NO OWARI – Habit」なんかはこのネットミーム化を上手く利用してバズった人気曲ですね。
海外で日本アーティストが有名になるとしたら、純粋に曲として勝負するよりもネットミームとして広める方が有利かもしれません。
しかしデメリットとして「曲の知名度だけがあるけどファンはそんなに出来ない」と言う事があり、オワコン化も激しくすぐにブームが消えて一発屋となってしまう可能性は高いです。
海外で曲がバズるのは運任せ?
アーティストにとって”運”は非常に重要な要素です。
日本で音楽をヒットさせるなら戦略を練れば結構売れるし希望もかなりあります。
しかし海外でオリジナル曲をバズらせるとなると、かなり運要素に頼る必要が出てきます。
今後海外で売れる日本人アーティストが出てくる可能性はありますが、ほぼ奇跡に近い運を掴まない限り成功は難しいでしょう。
もし仮に一曲だけバズったとしても、海外で長らくアーティストとして人気を維持し続けるのは不可能に近いと言えます。
アーティストにとってアメリカで成功することが「ゴール」なのか?
私は1つ疑問に思うのですが「海外・アメリカで売れる事」とは本当に日本人アーティストにとっての成功なのでしょうか?
海外での成功を目指す日本人は心のどこかで「海外に対するコンプレックス」を抱いている面があると思います。
しかし日本語を自由に使えて表現できるアーティストって、日本人しかいないんですよね。このメリットをなぜ活かさないのか?自信を持たないのか?と私は思います。
日本の音楽市場は世界的に見てもトップクラスだし、この国で成功することは日本人アーティストの誇りと言えるでしょう。
海外に夢を持つのも良いですが、この日本と言う国の音楽は決して劣っているわけでは無いのです。
「日本人アーティストにとって海外で成功することがゴールでは無い」と私は強く言いたいです。
海外での成功を夢見ているアーティストの方は、もう一度考え直した方が良いかもしれません。
正直、音楽において日本人が海外で成功する難易度は高すぎるし現実的ではありません。
今まで、色々な日本人アーティストが拠点を海外に移しましたが正直「世界的に成功した」と言える人は居ないでしょう。
ある程度音楽的評価はされますが、その程度です。「海外で認められた」と言うと聞こえは良いですが、結局一部の人が受け入れているだけで大衆には刺さっていないパターンがほとんどです。
夢を見る事は素敵な事ですが、時には現実とも向き合っていく必要があると思います。