「売れた曲=良い曲なのか?」という疑問は、音楽関係者やファンの間で話題になる事が度々あり、様々な意見が飛び交っています。
これに関しては”明確な答え”が私の中にあります。
・音楽をビジネス的視点で見た時は「売れた曲=良い曲である」
・音楽を芸術的視点で見た時には「売れたか否かは、良い曲である事に関係しない」
というのが結論です。ではこの事について、深く掘り下げていきましょう。
音楽の仕事をしている人は「売れた曲=良い曲」と自分に言い聞かせている事が多い
音楽を仕事としてやっている方たちは、どうしても「音楽をビジネス的な視点で見る事」が必要になってきます。
曲が売れなければ生きていくための収入のを得られませんからね。
音楽で生きていくためには「売れる曲」をリリースする事は必須なのです。
心の底では「売れない曲が駄作ではない」と分かっているのですが、音楽で生きていくためには「売れた曲が良い曲」と考えていかなければいけないのです。
実際、様々な有名アーティストがこの問題で悩んでいるのです。
「世間ウケを気にせず、自分がやりたい音楽で魂を込めて作った曲」よりも「割と勢いで作ったラブソング」の方が売れてしまうという事実に頭を抱えている方も居ましたね。
なのでアーティストを本業としてやっていく場合「売れる曲こそが良い曲」だと、自分に言い聞かせないとやっていけないのです。
アーティストはビジネス的視点を持った方が売れやすい
アーティストが売れるキッカケとして「音楽との向き合い方を変えた」というものがあります。
今までは「自分がやりたい音楽だけをやってきた」という方が「大衆ウケする曲を研究して、売れやすい曲をリリースする方向性に変えた」という事をキッカケに、知名度が上がっていったというパターンは数多く存在します。
現代の音楽シーンはビジネスとの深い繋がりがあるので「売れる事を重視して音楽活動する事」は最適解だと言えます。むしろ、そう割り切って音楽活動をした方が実は精神的に楽なんですよね。
なので「売れた曲が良い曲」だと考えている人・発言している人は、様々な苦悩を経た上で現在の考えにたどり着いた方が多いです。
どちらかと言えば、若いアーティストよりも音楽経験が豊富なベテランの方がビジネス的思考を持っている人が多いと私は感じます。
音楽の芸術的な部分を重要視している人は「売れた曲=良い曲」とは考えない人が多い
音楽と言えばやはり「芸術」というイメージがありますよね。音楽が大好きで、趣味としてどっぷり浸かっている人ほど、ビジネス的な側面よりも芸術的な部分を重要視していると言って良いでしょう。
こういう方は「売れる事を重要視したメジャーな作曲よりも、アーティストの自我と個性を出しまくった癖のある曲」を好む傾向にあります。
どうしても「世の中の売れている曲」は大衆ウケしやすいようにシンプルかつ王道に作られている事が多いので、芸術性を重視する音楽マニアからすると少し物足りなさを感じてしまう事もあるでしょう。
なので「売れた曲が良い曲だ!」と言われると、少しモヤモヤした感情になるんですよね。
音楽の芸術的部分を大切にしている人は、ビジネス的な側面を重視している人とは、分かり合えない事が多いです。
どちらの意見も正しいし、どっちが間違っている訳でも無いのです。ただ、芸術思考とビジネス思考を分けずに「売れた曲が良い曲だ!」と言ってしまうから論争が起こってしまうんですよね。
芸術的な部分を重要視しすぎると売れにくくなってしまう
アーティストとして生きていくためには”収入”を無視するわけにはいきません。
芸術的な部分をこだわりすぎてしまうと、やはりマニアックな曲になってしまいます。
そうなるとリリースした曲もヒットしにくくなってしまい、最終的にお金が足りなくて音楽を諦める事になってしまいます。
音楽で稼いでいくためには、万人ウケを狙わなければいけないのです。これは音楽で夢を追う全てのアーティストが直面する課題だと言えましょう。
「売れている曲は面白くない!」と真っ向から否定して、逆張りするようにコアな音楽しか作らないようになってしまうのはアーティストが失敗する典型的なパターンだと言えましょう。
もし「自分が好きな音楽をやりたい!売れる事重視の作曲はしたくない!」と思う方は、何か別の本業を持って副業として音楽活動をするのがベストですね。
現代のアーティストはビジネスと芸術の両方を見ながら音楽活動をするのが最適解
「万人ウケする曲を作りつつ、その中で自分の音楽で個性を出していく」というやり方が現代のアーティストにおける最適解です。
生計を立てていくためにはビジネス的思考は必ず必要だし、アーティストとしての質を高めるために芸術的な部分も考えていく必要があります。
”ビジネスと芸術を上手い塩梅で両立して良い曲を作る事”これこそが、現代音楽におけるアーティストとしての成功の道なのです。
有名アーティストは、作曲の際にこのバランスの良さを上手く保っています。
キャッチーで耳に残りやすく歌いやすいのだけど、分析していくと細かな部分にオシャレな工夫やテクニックが用いられているというのが曲の理想形です。
音楽に詳しくないカジュアルな層も、コアな音楽マニアも両方から評価されるような良い曲とは、そういうものだと私は考えていますね。
音楽には「良い曲」の明確な定義が無い
音楽とは「何をもって良い曲とするのか?」という明確な定義がありません。
もちろん、リズムがめちゃくちゃだったり、シンプルに音痴だったり、レコーディング環境が劣悪だったりすると、それは良い曲とは言えないでしょう。
そういった事が無いように”一定のクオリティー”は、当然求められます。
楽曲のクオリティーがちゃんとしているのであれば、後は「個人の好みで良い曲か否かが決まる」と言っても良いでしょう。
音楽は聞き手の好みによって評価が大きく変わります。
「歌詞が良い」「メロディーが良い」「コードの使い方がオシャレ」「展開が大きく変わるので聞いていて飽きない」などと、人によってどこを重視するかは異なります。
なので”良い曲”と言うのは、聞き手がそれぞれ自分の中で決める事なのです。誰かにとってはイマイチな曲でも、ある人にとっては名曲だということはよくあるのです。
なので「○○は良い曲で、××は駄作だ!」を決めつけたり議論する事は、そもそも無意味な事なのです。
そして「売れたら良い曲?」「売れないと悪い曲か?」という議論をする事も、意味が無いのです。
長年語り継がれる「名曲」は誰しもが納得する良い曲
世の中には「誰しもが納得するような良い曲」も存在します。
その多くは、世代を超えて長い間語り継がれているという特徴があります。例を出してみましょう。
・小さな恋のうた – MONGOL800
・Stand By Me – Ben E. King
・天体観測 – BUMP OF CHICKEN
これらは、多くの人に評価され愛され続けています。これからも新しい世代に語り継がれる名曲だと言えましょう。
世代を超えて愛され続ける名曲は、やはり「全盛期にもかなり売れている」という所が共通点と言えましょう。
大衆も、音楽マニアも納得がいくような”良い曲”とは、もしかしたら「世代を超えて聞かれる・歌われるようなヒット曲」なのかもしれませんね。
話題性だけで売れた曲は長い年月をかけて淘汰されていく
世の中には「エンタメや話題性」で売れる曲もいくつか存在します。ネタ要素が強めの歌詞やMVなどが特徴的です。
芸術よりも話題性が強い曲と言うのは、流行はするものの「曲としての評価」は賛否両論があります。
「何でこの曲が流行ってるのか分からない」「こんな曲がトレンドに入っているのが嫌だ。もっと良い曲は沢山ある」などと厳しい意見も見受けられます。
実は、過激な事やエンタメ要素を強くした話題性のある曲をリリースする事は、国内でも海外でもアーティストにとっての1つの戦略になっています。
音楽活動のやり方は個人の自由ではありますが、個人的には”芸術とカッコよさ”を欠いた音楽はファンが増えにくく長く愛されるアーティストになれないのでオススメはしません。
話題性は注目されるためには大切ですが、やり方を間違えると一発屋のアーティストになってしまいますね。オワコン化するのも早いし「あぁ、そんな人居たな」くらいの記憶にしか残らないのです。
覚えやすく口ずさんでしまうメロディーは、良い曲の条件
これは私個人の意見なのですが「一度聴いたら頭に残ってしまうようなメロディー」は良い曲だと考えています。
歌っていて楽しい、聞いていて癖になる、思わず口ずさんでしまう、このようなメロディーはまさに「音を楽しむ」という音楽の神髄だと思います。
実際、良い曲だと評価されている曲の多くは一度聴いたら忘れられないようなメロディーを持ち合わせています。
特に”サビの部分”のメロディーに関しては、曲の中で最も重要なポイントだと言えるでしょう。
ヒット曲の多くは、やはりサビがキャッチーで覚えやすいです。
特に最近ではショート動画で楽曲が切り抜かれて使われる事が多いです。なのでサビのメロディーにこだわれば、それだけバズりやすくヒット曲になりやすいのです。
今の音楽シーンは良い曲の条件に「共感できる歌詞」がある
昔に比べて、現代の音楽リスナー(特に若い世代)は歌詞をかなり重要視する傾向にあります。
今の時代の良い曲とは「共感できる良い歌詞」が必要不可欠なのです。
特にラブソングと失恋ソングで、共感される歌詞を良いメロディーに乗せれば、間違いなく売れます。
無名のアーティストがヒットするパターンも、こういう曲がキッカケになる事が多いですね。
下積み時代をいち早く抜け出すなら、恋愛系の歌詞を書くのが1番良いと言えるでしょう。
個人的に近年作詞でヒットしたと感じた曲は「melt bitter – さとうもか」ですね。サビの歌詞とメロディーの完成度・共感性が高すぎる名曲ですね。
”良い曲とは、良い歌詞から出来るものである”と言ってもあながち間違いでは無いでしょう。
実際、私の友人や知人(特に女性)は「この曲は歌詞が好き。めっちゃ良いんだよね」と言っている方がかなり多いです。
作曲する際はテーマと書きたい歌詞を最初にメモに書いていき、そこから歌詞の雰囲気に合うようなメロディーやコードを組み立てて作曲するのが良いですね。