アコースティックギターの弾き語り、ソロギター共に重宝されるテクニックである「ゴーストノート」その役割や使い方について、この記事では詳しく解説していきます。
ゴーストノート上手く使えればリズム感のあるカッコいい曲を作ることが出来ます。ワンランク上の演奏をしたい方は、積極的に取り入れたいテクニックですね。
特に「テンポの速い曲」を作りたい方は、ゴーストノートの使い方を覚えておくと役に立ちます。
アコギのゴーストノートとは何か?
ゴーストノートは弦を軽く押さえて弦を振動させないようにして(ミュート)ストロークやカッティング、もしくは単音引きをして「ジャっ!」「プツっ!」というようなパーカッシブな音を出すテクニックです。
アコギ本来の「ジャラーン!」という綺麗な音を出さないのが特徴です。
ゴーストノートはこんな音です↓
これは、ゴーストノートの中でも弦をミュートした状態でストロークする「ブラッシング」と呼ばれるのもです。
ブラッシングの他にも、弦を叩く「ストリングヒット」や、中指・薬指の爪を弦にぶつけて音を出す「ネイルアタック」など色々な種類のゴーストノートがあります。
ゴーストノートの役割は、パーカッシブな音でドラムのようなリズム感を出すために使われます。
「良いタイミングでゴーストノート入れておけば曲のリズム感が良くなってカッコよくなる」という風に覚えておいておくと良いでしょう。
アコギのゴーストノートの例
アコギのゴーストノートはカッコいいです。私も作曲する際はゴーストノートを結構使います。音の隙間にゴーストノートを入れ込むだけで曲の雰囲気がガラッと変わります。
例えば「CM7→B7」という流れがあったとします(ゴーストノート無し)↓
この音にゴーストノートを加えるとこんな感じです↓
これは「CM7→ゴーストノート3回→B7」となっています。音の流れにリズム感が出てノリが良く聞こえます。
これはあくまでも1つの簡単な例なので、他のタイミングやリズムでゴーストノートを入れても全然良いのです。
自分の感覚でかっこいいと思うリズムや弾きやすいゴーストノートを入れてみましょう。
作曲する際やアレンジする際は自分が1番カッコいいと思うリズム感になるように色々試行錯誤してゴーストノートを入れると良いですね。
アコギで「スラム奏法」や「スラップ奏法」をやっている方はゴーストノートを結構多用している事が多いです。
単音のメロディーにゴーストノートを入れると音不足が補える
アコギはエレキギターとは違ってゲインなどをいじって音を歪ませたり変化させることが出来ず、生音のままで勝負することになります。
なのでアコギは単音で弾くだけだと、少し物足りない音楽になる事もあります。
アルペジオにしたり、コードと合わせて弾いたり、速弾きしたりなどの方法で、物足りなさを補う事も出来ますが、ゴーストノートを使う事でカバーすることも出来ます。
単音のメロディーにリズム感を付け加えつつ、音を増やして充実させることで曲としてのクオリティーがグッと高くなります。
「なんかここのパート物足りないな」と思った時は合間にゴーストノートを入れると、意外と良い聞き心地になります。
ゴーストノートはTab譜で「×」表記になっています
TAB譜ではゴーストノートは「×」と表記されています。上画像の赤で囲んである部分がゴーストノートですね。
TAB譜に×が多い曲は、メロディーを弾きながら途中でゴーストノートをちゃんとミュートしなければいけないのでちょっと難しいですね。
特にソロギターでテンポのいい曲はゴーストノートが沢山ちりばめられていますね。バラード系の弾き語りの場合は比較的ゴーストノートは少なめです。
ゴーストノートは、むやみに増やし過ぎると歌声の邪魔になってしまいますからね。
弾き語りでは「ストリングヒット」と呼ばれるテクニックをほどよく使われることが多いです。
ゴーストノートを使わないほうが良いこともある
例えばゆったりとしたバラードのような曲や、落ち着くメロディーの曲にはゴーストノートは入れない方が良い事もよくあります。
リズム感や雑音が増えると逆に曲の雰囲気を壊してしまうので、逆効果になってしまう事もあるのです。
曲にアクセントを加える感じで一部分だけゴーストノートを入れるのはOKです。なるべく全体の雰囲気が壊れないように適度に使っていくのが良いですね。
しかし緩急をつける事も大切なので、ゴーストノートを入れないパートも作ると曲全体にメリハリが出てよりかっこよくなります。ここは工夫次第です。
作曲やアレンジに細かい決まりは無いので、自分が良いと思った構成にするのが1番良いです。
あまり深く悩まずに、直感と自分の耳を信じて決めたほうが実は上手くいったりします。
あえてゴーストノートを入れない部分を作る
ゴーストノートを入れると、カッコよくなりますが「あえて入れない部分」を作ることによって、曲に緩急をつける事が出来ます。
ある程度「余白」があるメロディーやコードを使うと起承転結のある曲が作れます。
例えばサビでゴーストノートを沢山入れた音で大きく盛り上がって、サビが終わった後は余白のある間奏にする事で緩急をつけられます。
曲全体を通してゴーストノートを沢山入れるよりもバリエーションと緩急があった方が、飽きにくく聞いていて面白いです。
作曲やカバーをする際は曲全体の流れを考えて「盛り上がる部分」と「落ち着く部分」を意識して作るのがオススメです。
テンポのいい流れでずっと演奏して1番盛り上がった所から、音が高めでゆったりしたメロディー(テンポは変えずに)のパートに入ると緩急があって「おおっ!」ってなりますね。
ゴーストノートは弾く弦の数によって音が変わります
ゴーストノートはミュートにした6弦全てを弾くのか、そのうちの1弦しか弾かないのかによって音が大きく変わります。
6弦全てを弾くと「ジャっ!」と言った強い音が鳴ります。
逆に6弦のうち3弦だけとかと弾くと「チャっ!」と言う少し弱めで軽やかな音が出ます。
弾く弦の数によって音の強弱を調整できるので曲の印象や流れ、メロディーとの噛みあいを考えて1番良いなと思ったものを選びましょう。細かいところですが結構大切なポイントです。
例えば少し音量が小さく高くなるパートだと、6弦全てでゴーストノートをやると雑音が多すぎてミスマッチになってしまいます。
適材適所と言う言葉があるようにゴーストノートにもそれぞれ合うメロディーや雰囲気があるのです。これらを使いこなせると曲全体にメリハリが出るので飽きの来ない作品に仕上がります。
作曲をする際は同じメロディーやフレーズ、リフを曲中に何回も繰り返すことがありますがメロディーラインは一緒でもゴーストノートの有無や強弱を買えるだけで印象が変わるので「同じメロディーなのに飽きない工夫されている曲」になります。
なのでこういったちょっとした工夫がファンを虜にする要因になりますね。細かな工夫がされている曲は沢山聞くほどに味が出てくるので長く愛されやすく、評価も高くなります。
ちなみに、作曲する際に「この曲ちょっと単調な気がするな」と思ったら、メロディーやコードはそのままにしてゴーストノートやリズム感などを変えてみると、アレンジが利いてて完成度の高い曲に仕上がります。
ゴーストノートを使うとオシャレな曲になる
踊りたくなるようなリズム感を出せるのもゴーストノートの特徴です。例えば3拍子の曲でゴーストノートを使えば、思わず体がリズムを刻んでしまうようなオシャレな曲に仕上げることが出来ます。
3拍子の現代の曲ではあまり無いのでリズム感に慣れていない人が多いです。なのでゴーストノートを使ってリズム感を出してあげることで、分かりやすくノリやすい聞き心地になります。
「ゴーストノートを使わない→エモくて切ない雰囲気」
「ゴーストノートを使う→リズム感のあるオシャレな曲もしくはカッコいい曲」
になるという事を覚えておくと良いでしょう。オシャレな曲を作りたい方はゴーストノートとストリングヒットを交えて使うと良いです。
特に弾き語りとの相性が良いので、作曲する際やカバーをする時はストロークだけの単調なコード弾きではなく、こういったパーカッシブな音を入れるとレベルが高くなりますね。
初心者っぽい演奏から抜け出したい方にオススメです。
ゴーストノートはあまり理論的に考えない事
作曲や弾き語りカバーをしていると「この使い方は正しいのかな」とか悩むことがあるかと思います。
しかし、ゴーストノートはあくまで気持ちの良いリズム感を出すために使うテクニックなので細かい理論は気にしなくて良いです。
16ビートだとか32ビートだとかは深く考えなくても大丈夫です。
あまり悩み過ぎると楽しくなくなりますからね。音楽理論は聞き心地が良い音楽を解釈して言語化したものなので、逆に言えば「聞いてて気持ちよければOK」なんです。
ゴーストノートはパーカッシブな音なので不協和音も無く、使いやすいので感覚的に使ってしまって大丈夫です。
リズム感さえめちゃくちゃでなければ曲として成立します。ゴーストノートは理論よりも”感覚”が重要です。
ゴーストノートはアップ・ダウンストロークを調整しながら入れよう
アコギの場合は曲のイメージやカッコよさも大切ですが、それを踏まえたうえで「弾きやすさ」も考慮していきましょう。
ゴーストノートを入れて難易度が跳ね上がる場合は、もう少し工夫して簡単になるように調整した方が良いかもしれません。
例えば「ここからのフレーズはダウンストロークで弾き始める方がやりやすい」と思うときは、そのコードにタイミングが合うようにゴーストノートの回数を調整してみましょう。
ゴーストノートの音を1つ減らすか増やすかどちらかで調整しましょう。アコギは「どの音をアップ・ダウンストロークまたはアップ・ダウンピッキングで弾くか」を考えながら作曲していくと良いです。
例えばテンポの速い16分音符とかの音で↓↓と2連続でダウンストロークするのは結構きついですからね。
なので「ここの音はアップストロークにしてみよう」とか「ゴーストノートを入れて弾きやすくしながらリズム感も入れよう」とか考えて使うと良いです。
意識すべきは「曲のリズムの良さ」と「弾きやすさ」の両立ですね。これらをゴーストノートを入れたり省いたりしながら調整していきます。
ゴーストノートは弦を押さえる指の数で音が変わります
同じ弾き方でも「指板の弦を押さえる指の数」を変える事のよって、ゴーストノートの音が微妙に変わります。
指1本でミュートすると軽快で爽やかな感じ、指4本でミュートすると重くどっしりしたゴーストノートになります。指2・3本はその中間の音になります。
ストロークやカッティング、ピッキングの強さでもゴーストノートの印象は大きく変わります。
ギターの演奏は全ての音を同じ強さで出しているわけでは無いですからね。こういった部分の強弱にこだわると曲に個性と豊かさが出ます。
音の違いは微々たるものですが、この強弱を上手く使いこなすことで曲にメリハリを付ける事が出来るしグルーヴ感もまとまって聞き心地が良くなります。
また、5フレットや7フレットなどのハーモニクスが鳴るところをミュートして弾くと「ゴーストノートとハーモニクスが混じった音」が鳴ります。
これも1つのアクセントとして使えます。DAWソフトの打ち込みでは絶対表せない音の表現が出来ます。
ゴーストノートはしっかり押さえないと普通に音色が鳴ります
特にピックでストロークする時に注意してほしい事です。左手でしっかり弦をミュート出来ていないと、ストロークやカッティングの時に弦が振動して「ジャらーん!」と普通に弾いた時のような音が鳴ってしまいます。
指4本でがっちりミュートしている時は、ほぼ大丈夫ですが指1本の時は弦の振動を抑える力が弱いのでちゃんとミュート出来ない場合があります。
ゴーストノートをやるべき場所で弦を鳴らしてしまうと、フレーズにまとまりが無くてダサくなってしまいます。
初心者の方は結構見落としがちなポイントですが「ゴーストノートはしっかりミュートしないとカッコ悪い音になる」と言う事は知っておきましょう。
細かい音の部分にも気を配る事が、一流ギタリストへの近道です。
アコギは意味のなさそうな音にも味がある
アコースティックギターのような生の楽器は、集中して聞かないと分からないような微細な音も出せるのが魅力です。
例えば「ハンマリング」です。これは弦を押さえる左手の指で弦を叩くようにして音を出すテクニックなのですが、実際はほとんど音が聞こえないんです。
アコギにおけるハンマリングは優しく小さな柔らかい音を出せるのですが、主張が少ないのです。なのでメロディーに加えても最初はよく聞き取れない事が多いんです。
しかしこの一見意味なさげな小さな音も曲の雰囲気を彩る大切な所なんです。
例えばバンドの場合は「ボーカル、ギター、ベース、ドラム」で構成されることが多いですが、その全ての楽器の音を聞き取れているかと言えば答えはNOです。
しかし、上手く聞き取れなくても音楽の雰囲気やグルーヴ感を出すためには大切な要素なんです。
こういった「ハッキリとは聞き取れないけど意味のある音」は曲を構成する重要な要素です。
ゴーストノートに関しても1音ずつだとあまり聞き取れない音が多いですが、実際に曲として流れで聞いた時に良い聞き心地になる事がよくあります。
聞き取りにくい小さな音は「単音」として見るのではなく「曲やフレーズの流れ」として聞きながら、必要な音か否かを判断していきましょう。
「こんな小さい音入れても意味ないでしょ」と思っていても実は全体でみれば良く聞こえたりするのです。ここは試行錯誤で自分なりのスタイルを見つけてみて下さい。
スラップ奏法ではゴーストノートを多用する
アコギのスラップ奏法はゴーストノートを多用します。ゴーストノートを沢山交えたハイテンポで流れていくメロディーはカッコいいですよね。
「Justin King – Phunkdified」なんかは有名曲ですね。
スラップ奏法をやる人はゴーストノートの使い方が格段に上手いです。ノリの良いリズム感を出すために、これでもかとゴーストノートを詰め込んでいます。
頭の中にガツンと来るような曲が作れるのもゴーストノートの良い所です。
ゴーストノートについての理解を深めたり、作曲する際の使い方を知るためにスラップ奏法について研究してみるのも良いと思います。
インスピレーションを受けて自分の音楽に何か新しい要素を生み出せるかもしれません。
自分の音楽のマンネリ化を防ぎたいなら、色々なジャンルから要素を引っ張ってくると良いですね。
新しさを生み出す発想は別ジャンルから出てくることもあります。たまには寄り道してみると新しい発見がありますからね。