音楽には実際に楽器を演奏した「生の音」とDAWソフトなどで作った「打ち込みの音」があります。
音楽活動を始めようとしている方の中には「打ち込みと生演奏どっちが良いの?」という疑問を抱く方も居るかと思います。
結論から言えば「どちらを使っても良い」です。音楽は自由であり、様々なスタイルがあって良いと私は考えています。
「○○はダメ」なんてことは無いので自分の出来そうな方法で音楽を作っていきましょう。
楽器演奏と打ち込みは結局どっちが良いの?
これは結論ですが「どちらがダメとか良いとかは無い」です。単に音楽性の違いがあるだけです。
例えば「クラシックとロックどっちが良い?」と聞いているのと一緒です。それぞれに良さがあって1つのジャンルとして確立しているのです。
ではオススメはどちらか?強いて言うなら「楽器演奏」です。
実際に私がメインでアコースティックギターをやっているのもオススメする理由の1つですが、やはり「生の演奏の音の方が好きだから」です。
例えるなら「楽器演奏の音は人の声」で「打ち込みの音は機械音声」みたいな感じです。
例としてアコギの実際の演奏には細かなゴーストノートやコードチェンジの際の弦がこすれる音、スライドやチョーキングなどの細かい表現が出来ます。
しかし多くの人は楽器演奏と打ち込みの音の違いは分からないんです。ある程度音楽に詳しい人じゃない限り聞き分けは出来ません。
それに最近では打ち込みの表現スキルも上がって、生の楽器演奏に近い音を出せるようになりましたからね。
なので「打ち込み」でも「生演奏」でも、一般の人からすると差は無いのです。
打ち込みで音楽を作るメリットは、楽器がそこまで弾けなくても自宅で気軽に作曲できることです。
実際現代で活躍するアーティストの中には打ち込みで作曲している人も多くいます。
また「生演奏と打ち込みの両方を使って作曲する」というアーティストも意外といますね。
生の楽器演奏で作曲するメリット
楽器演奏するメリットはやはり「カッコいい自分になれる」と言う事です。楽器を弾いている姿と言うのは誰が見てもカッコいいんです。
1番メジャーな楽器はギターですね。憧れて始める人もかなり多くそれだけ人気でかっこいいと思われている楽器なんです。
アーティストがライブをする際、ギターを肩にかけてステージに立っている姿はやっぱりカッコいいです。
色々と便利になった現代における、生の楽器演奏のメリットはやはり「カッコよさとロマン」ですね。
楽器演奏は生の音が美しい
人の手によって弾かれる生の楽器の音はわずかな強弱や余韻、微妙な音の変化が魅力です。
打ち込みの場合は音の正確さはピカイチですが強さや長さが一定なので、魂や感情がこもった人間味のある音は出せません。
どれだけ打ち込みの技術が発達しようと「生の楽器演奏の音」には勝てないのです。
音にこだわりがある人や魂のこもった曲を作りたい人は楽器を実際に演奏すると良いでしょう。
とは言え、実際に録音してMIXマスタリングしていくと、生の音の良さが消えていってしまう事もあるのが現状です。生演奏は、デジタル化された物よりも実際に生で聞く方が圧倒的に良いですね。
シンプルな音楽を作りたいなら楽器演奏が良い
「色んな楽器が混ざっている音楽よりも1つの楽器で音楽を完成させたい!」というこだわりがある人は楽器演奏がオススメです。
ピアノやアコギで弾き語りしている人に多いですね。楽器1つで奏でる音楽はシンプルで雑味の無い純粋さが特徴です。
楽器一つで音楽を完成させる場合、打ち込みだと限界があります。やはり誤魔化しいくいので、どうしてもチープさを感じてしまうのです。
「楽器一つ+歌声」かつ、編曲もなるべくシンプルに仕上げるなら、打ち込みよりも生演奏の方が向いていますね。
楽器演奏をしておけば音楽知識が身に付く
実は打ち込みの音楽を作るには音楽知識と楽器に対する理解がある程度必要です。打ち込み音楽を作っている人でも、ギターなどの楽器が弾ける人は多くいます。
現代のアーティストは「楽器を演奏していた人が打ち込みに路線変更した」というパターンが結構多いですね。
元々はバンドをやっていて解散したことをキッカケに、打ち込み音楽を始めた人も全然います。
楽器が弾けなくても打ち込みで曲を作る事は可能ですが、作曲の幅を広げたり音楽への理解を深めるために、何か1つ楽器を弾ける様になっておくと良いでしょう。
オススメはギターかピアノですね。この2つは出来る事が多く、学べる知識も多いです。ギターかピアノが分かれば、ベース・ドラムなど他の楽器への理解も簡単になります。
楽器を弾けると音楽をやっている自分が好きになれる
楽器を弾いて音楽をしていると自分に自信が持てます。やっぱり楽器を弾くのって楽しいし、上手く弾けたときは「今の俺かっけえ!」って思えるんです。
打ち込みで曲を作るとどうしても「楽器が上手い人」にコンプレックスを抱きがちです。楽器と歌声だけで作る純粋な音楽はやっぱり絶対的にカッコいいし、憧れてしまうものです。
世の中にはまだ打ち込み楽曲に対してあまり良いイメージを持っていない人も意外と居ます。なので音楽活動をしていると気になる事もあるでしょう。
なので楽器も何か弾ける様になっておいた方が、自信も付くしアーティストとしての活動にも身が入ると私は思いますね。
楽器演奏で作曲するデメリット
楽器演奏のデメリットは何といっても「練習が大変」という事です。
楽器練習をほぼ毎日やらないと腕が鈍っていくし、曲を人に聞かせられるほどまで上手くなるには、かなりの練習量を積まないといけません。
また、ライブをやろうとなればかなり多くの曲を、ほぼミスが無い状態に仕上げないといけません。
毎日が練習の日々で音楽に没頭できるほど好きな気持ちがないと挫折しやすいです。
打ち込みに比べて曲を完成させるのが大変です。
打ち込みの場合は、入力しておいた音がデータとして正しいリズムで綺麗な音を出してくれるので、比較的作曲してからリリースまでが早いです。
沢山曲を作りたいなら打ち込みの方が比較的有利とも言えるでしょう。
楽器はなんだかんだお金がかかる
楽器は例えばアコギを始めるなら最初は3~5万くらいの価格の物を買います。しかし弾けるようになってくると10~30万くらいの良いギターが欲しいと思うようになってきます。
そして弦やピックなどの消耗品もランニングコストがかかります。これは安いのでそこまで痛手では無いですけどね。
やっぱりギター本体にお金がかかります。もちろん3~5万くらいの機種でも性能は十分なので音楽活動は出来ます。
しかし物欲は出てくるしコレクションしたくなるんですよね。
周りの人たちが良い楽器を持っていると、安いモデルを持っている事に悔しさや恥ずかしさを感じる事もあります。
やっぱり「良いギターを持って演奏している」という姿に憧れるのが楽器奏者の宿命とでも言って良いでしょう。
打ち込みで作曲するメリット
打ち込みは作曲する際に色々な楽器が使えるのがメリットです。自分が弾けない楽器でもDAWソフトで打ち込むだけで好きな音が出せるんです。
楽器では無い音も作曲に組み込むことが出来るので、かなり作曲の幅は広くなります。
これが打ち込みの強い所ですね。なんなら1人でオーケストラの曲も作れちゃうんです。
ロックでもジャズでもフューチャーベースなど何でも作れます。これは楽器演奏には無い最高のメリットです。
打ち込みで楽曲を作る人は、新曲を出す際に全く違う雰囲気にも出来るので飽きられにくく新鮮さを出すことが出来ます。
楽器では弾く事が不可能な曲を作れる
打ち込みでの作曲は、人間には絶対に弾けないような作品を作ることが可能です。例えばピアノなら、3本手が無いと演奏できないような曲でも作れるんです。
そんな超絶的な音楽を生み出せるのも、打ち込みの面白い所ですね。
超絶スピードの速弾きメロディーや、複雑なコードなどを練習無しで曲として完成できてしまうのが打ち込みの凄い所です。
データとして書き込んでいるので、練習を積まなくてもリズムが崩れる事なく正確な音を出せます。
テンポの速い曲は弾く難易度が高いですが打ち込みなら入力してしまえばそれでOKなんですよね。
なので自分の演奏スキルを大幅に超えた曲を色々作れるのがメリットです。そういった意味でも楽器演奏よりも曲の幅が広く、なんでも作れちゃうのが凄い所です。
自宅でヘッドフォンを耳にかけてカチカチ打ち込むだけで色々作れちゃうので、色んな音楽を作りたい人は打ち込みがオススメです。
電子音楽を作るなら打ち込みが良い
ピコピコした電子音が特徴的なエレクトロポップなどの曲を作りたい方は打ち込み一択です。これを生の楽器では基本的に演奏できないですからね。
テクノポップ・EDM・チルアウト・ドラムンベースなどなど打ち込みで作られる音楽ジャンルは沢山ありますね。国内外で様々な発展を遂げており、特に海外では電子音楽は活発ですね。
電子音楽で言えば、近年はボーカロイドもかなりの人気コンテンツです。これらの多くはDAWソフトによって打ち込みで作られたものが多いです。
もしボカロPとして活動する夢があるなら打ち込みで曲を作る方が良いですね。
現代音楽において打ち込みの技術はかなり重宝されるし、お金を稼ぐ上でも有利になります。
打ち込みは作曲スピードが速い
DAWソフトに慣れるまでは大変ですが、1度作曲の過程を覚えてしまえば作曲のペースを速める事が可能です。
楽器と違って数日休んだ程度ではスキルは鈍らないので、毎日練習しなくても良いんです。
もちろん打ち込みの知識を学んだり作曲を重ねて経験を積んでいく事は大切ですが、一度自分の中で作曲のセオリーを作ってしまえばOKなんです。
例えば自分の頭の中に浮かんだメロディーをそのままDAWソフトで打ち込んで、即座に曲に出来るのは打ち込みの強みです。
これが楽器となると思いついたメロディーを楽器で弾けるようになるまで練習をしなければいけないので大変です。クオリティーを高めて人に聞かせられるようになるまでは時間がかかりますね。
もちろん人の心に刺さる曲を作るのは簡単では無いですが、沢山曲を出してその中からヒット曲を出す「数打ち当たれ戦略」を使えるのは良いですね。
やっぱりリリースする曲が多いほどにバズって人気になるチャンスを掴みやすいです。打ち込みの音楽スタイルは今の時代に適していると思います。
打ち込みなら楽譜が読めなくても作曲が出来る
打ち込み音楽はDAWソフトの知識とある程度の音楽理論さえ知っていれば作曲できます。
楽譜は読めなくても良いんです。むしろ読めないアーティストも意外といます。
元ある曲を演奏する際、例えばオーケストラなどで活動する場合は楽譜を読めなければいけませんが、作曲する際は楽譜は読まないんです。
自分で曲を作る際は白紙の部分に音を打ち込んでいくので、楽譜がそもそも出てこないんです。
楽譜は「自分が作った曲を誰かが演奏するため」にあると考えて良いです。なので昔の偉人たちは自分の曲を楽譜として残して後世に受け継いできた訳ですね。
今はYouTubeやCDなど色々な媒体があるので楽譜を書かなくても自分の音楽を残すことが出来ます。
*生の楽器演奏を音を演奏者に依頼してレコーディングする際は、弾いてほしいフレーズを楽譜にして渡す必要があります。必要になるのはこの時くらいですね。
DAWソフトが使えれば色々な仕事が出来る
DAWソフトでMIX・編曲するスキルを身につければ仕事の幅が広がります。
世の中には作詞作曲は出来るけどレコーディングして編曲が出来ない人が沢山います。
なので「編曲スキル」を使ってお金を稼ぐことが可能なんです。
最近ではボーカロイド曲の「歌ってみた」が人気で、自分が歌ったものをMIXしてほしいという人が多いんです。
いわゆるMIX師と呼ばれる人はそれを仕事にしています。歌ってみたのMIXは元ある完成されたOFFボーカルの音源に人の歌を合わせるだけなので工程は結構楽です。
ピッチとタイミングを調整してノイズ除去、コンプレッサーをかけたりエフェクトを付けてあげれば良いんです。
MIXは1曲につき大体5000円から8000円が相場です。なのでコンスタントに集客してMIXしていけば仕事としてやっていく事も可能なんです。
アーティスト活動をする傍らで、こういったMIXの仕事をして生計を立てていくと収入が安定するのでオススメですね。シンガーなどに楽曲提供をして稼ぐことも出来ますね。
また楽器演奏する際もレコーディングする際はDAWソフトを使う事も多いので、結局使えたら最強なんです。
「DAWソフトが使えるアーティスト」は長く生き残れますよ。
打ち込み作曲のデメリット
打ち込みのデメリットは何といっても「生音に比べると違和感がある」って所です。打ち込みにおける永遠の課題です。
最近では打ち込みのスキルで本物の音に寄せられるようになってはきてますが、それでも生音には勝てないんです。それに実際の楽器の音に寄せるのって結構難しいんですよね。
私はアコギを専門にやっていますが、やはり打ち込みのアコギの音には違和感を覚えます。しかしピアノやドラムを始め、色々な楽器の音が合わさってくると違和感を感じにくくなります。
打ち込みは1つの楽器だけで音楽を作ると違和感がありますが、長所である「色んな楽器を使える」と言う所を活かして作曲すれば音楽として良いものに仕上がります。
逆に言えばですが、打ち込み音楽がさらに進化して「生音と同等くらいのクオリティーの音」を出すことが出来れば打ち込みは最強と言えるでしょう。
もしかしたら今後DAWソフトやプラグインが進化していって、生音と聞き分けられないくらいに近い音が出せる日がやってくるかもしれません。
音楽業界や流行は時代と共に移り変わっていくので20年後の未来では楽器演奏するアーティストが激減しているかもしれませんね。
DAWソフトは機能が多く使いこなすのが難しい
例えば、有名なDAWソフトとして「CUBASE)というモノがあります。
この打ち込み&編曲ソフトはかなり多くの機能があります。色んな曲を作れるし細かな調整も出来るのがメリットではあるのですが、使いこなすまでが難しいです。
どこに何の機能があるか分からないし、画面がごちゃごちゃしていて訳が分からなくなります。
1から作曲する際に何から始めればいいのか分からないです。メロディーから打ち込むのか、ドラムから入れるのかとか悩みますね。
しかし今はDAWソフトの使い方が書かれた本やYouTubeでの解説動画なども沢山あるのでそういった所から学んでいけば出来るようになります。
何事も最初が大変ですが、慣れていけば作曲もサクッと出来るようになってきますよ
色んな楽器を使うのでそれぞれにある程度知識が必要
DAWソフトは楽器が無くても作曲が出来るとは言え、実際には楽器と音楽に対する知識と理解が必要になります。
適当に打ち込んで曲になるほど簡単では無いんですよね。なのでDAWソフト、使う各楽器、音楽理論それぞれある程度知っておかないといけないんです。
実は音楽って結構座学と言うか、最初は「知識」をどんどん頭に詰め込んでいかなければならないので挫折する人も意外と多いんです。
とはいえ意外と高校の勉強よりは簡単なのでちゃんと学んでいけば分かるようになってきます。
また、曲のクオリティーを上げるために「平坦な打ち込み」ではなく「細かく音を打ち込んで生音に近づける」と言う作業が結構大変な作業です。
1つづつ音を入れて確認しながらトラックを作っていくのでパソコンとにらめっこの時間が続きます。
打ち込みは楽器を弾く楽しさを味わえない
打ち込みの結構大きなデメリットですが「楽器を弾く楽しさ」って無いんですよ。
基本的にパソコンをポチポチやって曲を作りますからね。「爽快感」は正直あまり無いです。
楽器は曲を上手く弾けると気持ち良いし、外の開放的な場所で練習している時は爽快で楽しいです。
私はアコギが好きなのですが、やっぱり弾いている時が1番音楽しているなって感じます。自分が上達していく感覚が良いんですよね。
人にも披露出来て見栄えも良いので、やっぱり音楽は楽器を弾いてやりたい派です。
「楽器を何か一つ持ってその上で、打ち込み音楽をやる」というスタイルが1番良いと思います。トラックメイカーの方でも楽器を持っている人は多くいますからね。
エレキギター、アコースティックギター、キーボード(ピアノ)を持っている人が結構いる印象です。
打ち込み作曲は初期費用が意外とかかる
打ち込み音楽はランニングコストはあまりかからないものの、初期費用は掛かります。まずはハイスペックのパソコンです。
DAWソフト、動画編集ソフトを使うので結構いいスペックのPCが必要です。価格は10万前後です。
そしてソフトにもお金がかかります。1番メジャーで使っている人も多いDAWソフト「CUBASE」は価格は6万ほどです。
動画編集ソフトは無料で使えるものも多いですが、有料の物は1万前後かかります。ちなみに無料のモノは微妙なのでオススメしません。
後は声を録音するためのコンデンサーマイクと、それをパソコンにつなぐオーディオインターフェースが必要です。価格は合わせて3万前後です。
もっと高性能の物を買おうとすれば出費も増えていきます。ただ1つの目安として20~30万くらいは初期費用としてかかることは覚えておきましょう。
しかしアーティストとして活動してお金を稼いでいけば、その分の料金は取り返せるでしょう。今はネットを使って誰でも音楽を発信できる時代ですからね。